ヴュルツブルク音楽大学/Hochschule für Musik Würzburg
大平 健介
OHIRA KENSUKE
[専攻]
器楽(オルガン)
[学歴]
2010-2012 ドイツ・ヴュルツブルク音楽大学(Meisterklasse Orgel, Kirchenmusik-B)
2009-2010, 2012- 東京芸術大学大学院音楽研究科修士課程
2004-2009 東京芸術大学音楽学部器楽科卒業
[受賞歴]
2010 DAAD(ドイツ学術交流会)給費留学生(2年)
留学までの経緯
*留学を志したきっかけは?
オルガンはキリスト教を背景としてヨーロッパで生まれ、発展した楽器であり、一台一台がそれぞれの土地の特色を時代と共に色濃く受け継いでいます。ヨーロッパに身を置きながら、各時代、各作曲家ゆかりの楽器を実際に訪ねて学びを深めたいという思いから、いずれは留学をしたいと、芸大入学前から考えていました。
*本格的に留学を計画し始めたのはいつですか?
実際に計画を始めたのは大学院1年目、前期の終わった頃です。大学院2年の後期から休学してドイツへ留学できるように、願書の提出、受験、留学に備えての奨学金申請等の準備を始めました。
*留学先に当該機関(大学等)を選んだ理由は?
良い師のいる場所へいくか、良い楽器のある場所にいくか、という選択肢はオルガン科の学生なら誰しも一度は考える点かと思いますが、僕の場合、師事したい先生が見つかり、また留学先のオルガン科では、留学の目的のひとつでもある歴史的楽器へのアプローチに重点を置いていることが事前に分かったことから、自分にとても相応しい留学先なのだと確信を持てるようになりました。事実、月1度行っているオルガン遠足、また歴史的楽器における演奏会(ベルリン大聖堂、そしてリューネブルクの聖ニコライ教会では【M.レーガー:全曲シリーズ】、またヴァルタースハウゼンの市教会では【J.S.バッハ:クラヴィーア曲集第3巻全曲】 )などから得た経験は計り知れないものがあります。
またドイツに留学したいと考えていた僕は、時間さえ許すのならば、教会音楽科を専攻することがオルガニストにとっては最良だと考えており、現在、オルガン科と教会音楽科の両方をそれぞれ専攻しています。教会音楽を専攻するにあたり、やはりどの合唱指揮の先生に師事するのか、ということも非常に重要なポイントとなります。冒頭の言葉を言い換えるならば、良いオルガンの師か良い合唱の師か、どちらに重きを置くかが教会音楽科の入学先を決める鍵となるでしょう。実に幸運なことに、僕の場合は、つきたいと思った先生が、たまたま二人ともヴュルツブルク大学で教鞭を執られている方だったのです。時期と場に異なる出会いを得たにも関わらず、この偶然は、自分の確信をさらに強めることとなりました。
ちなみにオルガン遠足とは、先生が「特にどんなことを学びたいのか」と学生に尋ねたときに、最も多かった声が「楽器についての経験」だったことから発足したものです。この遠足は授業カリキュラムにはまったく含まれない、まさに特別授業と呼ばれるもので、早朝、大学前に車数台に分かれて集合、1日をまるまる使って楽器訪問をするというものでした。ドイツ全体に渡って行われたこの遠足は、片道が3~4時間になることも珍しくなく、帰りはほとんど深夜になっていました。しかし大変だったことは、それがオルガン科企画の特別授業であったために、他の授業も1日休む必要があったことです。